func (c Counter) Inc()と値レシーバで書くと、呼び出し元のc.nは増えません。メソッドは型に紐づく関数で、値レシーバとポインタレシーバでメソッド集合が変わり、インターフェース実装の可否にも影響します。
メソッド宣言
メソッドは型に紐づく関数です。レシーバは関数名の前に書きます。
type Rect struct{ W, H float64 }
func (r Rect) Area() float64 {
return r.W * r.H
}レシーバ名は型の短い別名として使われます。同じ型のメソッド集合内で一意である必要があります。
値レシーバとポインタレシーバ
レシーバは値Tまたはポインタ*Tです。
func (r Rect) Perimeter() float64 {
return 2 * (r.W + r.H)
}
func (r *Rect) Scale(f float64) {
r.W *= f
r.H *= f
}値レシーバではメソッド内の変更はコピーに対してのみ有効です。呼び出し元の値を変更するにはポインタレシーバを使います。
代入可能な値へのアドレス取得
変数pが代入可能なら、値型のレシーバメソッド呼び出しp.Method()は、コンパイラによって(&p).Method()と解釈されることがあります。
type Rect struct{ W, H float64 }
func (r Rect) Area() float64 { return r.W * r.H }
func (r *Rect) Scale(f float64) { r.W *= f; r.H *= f }
r := Rect{W: 3, H: 4}
r.Scale(2) // 代入可能 → 実質 (*Rect).Scale
fmt.Println(r.Area()) // 24一方、リテラルやmapの要素など代入可能でない値に対して、ポインタレシーバのメソッドは直接呼べません。
// Rect{W: 1, H: 1}.Scale(2) // コンパイルエラーポインタと値の使い分け
次のようなときはポインタレシーバが使われます。
- メソッドがレシーバのフィールドを変更する
- レシーバが大きく、コピーを避けたい
- レシーバがスライスやマップなど、内部データを変更する型である
値レシーバは小さな不変型や、値型として扱いたいときに向きます。大きな構造体では値レシーバのたびに全体がコピーされるため、読み取り専用でもサイズが大きければポインタレシーバを検討します。
ポインタレシーバ*Tのメソッドは、レシーバがnilでも呼び出し自体は可能です。メソッド内でフィールドにアクセスするとパニックになります。値レシーバのメソッドをnilの*Tから呼ぶと(*p)に展開されるため、フィールド参照時にパニックします。
var p *Rect
// p.Area() // 値レシーバ: (*p) の展開で nil ならパニック
// p.Scale(2) // ポインタレシーバ: 呼び出しは可能だが、フィールド参照でパニックレシーバ型の一貫性
同一の型に対して、値レシーバとポインタレシーバのメソッドを混在させないのが慣習です。混在するとメソッド集合が呼び出し側の型(Tか*Tか)によって変わり、インターフェース実装の可否にも影響します。値型Tのメソッド集合には値レシーバのメソッドが入り、ポインタ型*Tには値レシーバとポインタレシーバの両方が入ります。
メソッド式とメソッド値
メソッドは関数値として扱えます。
r := Rect{W: 3, H: 4}
fn := r.Area // メソッド値: レシーバがあらかじめ結び付いている
fmt.Println(fn())
area := Rect.Area // メソッド式: レシーバを第1引数で渡す
fmt.Println(area(r))埋め込みとメソッド昇格
構造体に別の型を埋め込むと、その型のメソッドが昇格して外側の型から呼び出せます。埋め込みは継承ではなく、フィールドとして内側の値を持ち、名前を省略してメソッドへ届ける仕組みです。
type Engine struct{}
func (e Engine) Start() {}
type Car struct {
Engine
}
var c Car
c.Start() // Engine.Start が昇格外側の型に同名メソッドがある場合、外側が優先されます。インターフェースの埋め込みはメソッド集合の合成であり、構造体の埋め込みとは別の仕組みです。埋め込みはフィールドとメソッドの昇格であり、型の置き換え(代入可能性)を生みません。CarをEngineとして使うことはできません。