Go言語のゴルーチンとチャネル
2026/07/28

ゴルーチンとOSスレッド

goを付けた呼び出しは、元の処理と並行して走ります。ゴルーチンはGoランタイムが管理する実行単位です。OSスレッドより起動コストが小さく、多数を同時に動かせます。ランタイムは複数のゴルーチンを少数のOSスレッドに割り当てて実行します。

構文はgoのあとに関数呼び出しを書きます。呼び出し先の処理が終わるのを待たず、go文の次の文がすぐ実行されます。

go func() {
    fmt.Println("別のゴルーチンから")
}()
fmt.Println("main側")

main終了とゴルーチンの寿命

mainゴルーチンがreturnするとプログラム全体が終了し、他のゴルーチンも打ち切られます。mainが先に終わると、起動したばかりの処理の完了を待たずに終了します。

go fmt.Println("worker")
// mainがすぐ終わると、workerの出力が欠けることがある

完了を待つには、チャネルやsync.WaitGroupなどの同期が必要です。

送信と受信

チャネルはゴルーチン間で値を渡す型です。要素型Tのチャネルはchan Tと書きます。

ch <- vはチャネルchvを送り、<-chchから値を受け取ります。<-の左側がチャネルです。

受信は式にも文にも書けます。x := <-chのように値を受け取るほか、<-chだけで値を捨てることもできます。

ch := make(chan string)
go func() {
    ch <- "ping" // 送信
}()
msg := <-ch // 受信
fmt.Println(msg) // ping
ch <- v    // 送信
x := <-ch  // 受信
<-ch       // 値を捨てる受信

バッファなしチャネルの待ち合わせ

make(chan int)はバッファなしチャネルです。送信と受信が揃うまで双方がブロックします。値の受け渡しと、相手の到着待ちを同時に行います。どちらが先に待っていても構いません。受信が先でも、送信が来た時点で揃います。

ch := make(chan int)
go func() {
    ch <- 1 // 受信側が来るまでここで待つ
}()
n := <-ch // 送信が来るまでここで待つ
fmt.Println(n) // 1

受信を先に待つ側をゴルーチンにしても同じです。

ch := make(chan int)
go func() {
    n := <-ch // 送信側が来るまでここで待つ
    fmt.Println(n) // 1
}()
ch <- 1 // 受信側が来るまでここで待つ

バッファなしチャネルは、送る側と受ける側が別々に動いている必要があります。受ける側がいないまま送ると、その場で止まりデッドロックになります。

ch := make(chan int)
ch <- 1 // 受信するゴルーチンがいない → デッドロック

完了を待つ

値を渡さず「終わった」ことだけ伝えたいときは、要素型を空の構造体にしたチャネルが使えます。struct{}はフィールドを持たない型で、値そのものに伝える情報はありません。送受信が起きたこと自体が合図になり、chan boolのように使わない中身を載せる必要がありません。サイズも0なので、完了通知だけに向いています。

done := make(chan struct{})
go func() {
    fmt.Println("worker")
    done <- struct{}{} // 完了の合図
}()
<-done // mainが待つ → workerの出力を見られる

値の受け渡しが不要で、複数のゴルーチンの終了だけ待つときはsync.WaitGroupが使えます。Addで待つ数を登録し、各ゴルーチンの終了時にDone、待ち側でWaitします。

var wg sync.WaitGroup
wg.Add(2)
for id := 1; id <= 2; id++ {
    go func(id int) {
        defer wg.Done()
        fmt.Println("worker", id)
    }(id)
}
wg.Wait() // 両方のDoneが終わるまで待つ

Addはゴルーチン起動より前に呼びます。起動後にAddすると、カウンタがまだ増える前にWaitが「待ちは終わった」と判断して先に進んでしまうことがあります。

バッファ付きチャネル

make(chan int, 3)は容量3のバッファ付きチャネルです。バッファに空きがある間は、受信側を待たずに送信できます。バッファが満杯なら送信はブロックし、空なら受信はブロックします。

ch := make(chan int, 2)
ch <- 10 // バッファに載るので、ここではブロックしない
ch <- 20
fmt.Println(<-ch, <-ch) // 10 20

容量を超えて送ると、空きができるまで送信側が止まります。

ch := make(chan int, 1)
ch <- 1
// ch <- 2 // 受信が無いとここでブロック(デッドロックになりうる)

closeとrange

close(ch)は「これ以上値を送らない」というシグナルです。送信側が呼ぶのが慣習です。受信側が閉じると役割が壊れ、そのあと送信側が送り続けると閉じたチャネルへの送信でパニックになります。

閉じたチャネルへの送信

閉じたチャネルへ送ると、実行時にパニックします。

ch := make(chan int)
close(ch)
// ch <- 1 // panic: send on closed channel

閉じたチャネルからの受信

残りの値を取り出したあと、ゼロ値とfalseを返します。

ch := make(chan int, 1)
ch <- 7
close(ch)

v, ok := <-ch
fmt.Println(v, ok) // 7 true(バッファに残っていた値)

v, ok = <-ch
fmt.Println(v, ok) // 0 false(閉じ済み)

rangeとclose

range chはチャネルが閉じられるまで受信を続けます。送信側がcloseしないと、rangeは終わりません。複数の値を送り終えたあと、完了の合図としてもcloseが使えます。

ch := make(chan string, 2)
ch <- "a"
ch <- "b"
close(ch)

for s := range ch {
    fmt.Println(s) // aそれからb
}

select

select文は複数の通信操作のうち、実行可能なcaseを1つ選びます。どれもすぐに実行できないときは、準備できるまで待ちます。複数のcaseが同時に準備できていれば、そのうち1つが選ばれます。

defaultを付けると、どの通信もすぐできないときに待たずそのcaseへ進みます。

ch1 := make(chan string, 1)
ch2 := make(chan string, 1)
ch1 <- "from ch1"

select {
case msg := <-ch1:
    fmt.Println(msg) // from ch1
case msg := <-ch2:
    fmt.Println(msg)
default:
    fmt.Println("no communication")
}

default無しのselectで、どのcaseも永久に準備できないとデッドロックになります。チャネル操作と同様に、相手側の送受信やcloseがある前提で書きます。